皆さんこんにちは。
公務員系学科長の小松です。
今回のブログは毎年恒例である海外研修旅行についてです。
(書き始めで何なんですが、たぶんとんでもない長文になりますので何回かに分けますね^^;)
私はこの仕事を始めてたぶん今年で20年になりますが、他の同等のキャリアの先生方と違い、これまで研修旅行の引率になったことがありませんでした。
理由は78個くらいありますが、かいつまんで言えば「その地には興味が無い」という理由からでした。
たとえばハワイやグアムなんかは日本人に人気ですけど、私は微塵も興味が無いです。歴史的に興味を惹かれるものはないですし、太陽が嫌いだし、日本人ばっかりでしょうし、物価は恐ろしく高いし・・・etc。そもそも泳ぎたいならわざわざ異国に行かなくてもアクアパレットで十分ですよ。
私には歴史教員の端くれとして、旅好きとして死ぬまでにその場に立ちたい、この目で見たいと思う場所が両手とちょっとくらいありますが、台湾(台北)はずっとそのうちの一つでした。ちなみに筆頭はサン・ピエトロ大聖堂です。広場に立ったらもう号泣してると思います。その後ピエタ見てまた泣いているはずです^^
さて、私が10代後半の頃からずっと台湾に行きたいと思っていた理由を、大人も意外と知らない「台湾という国」についての説明を交えながらお伝えしたいと思います。
いきなりですが皆さん、「中国」って2つあった(ある)んですが、ご存じでしたか??
中国という国は紀元前に始皇帝という人物がその称号を用いて以来、20世紀までずっと「皇帝」が支配してきました。
私は日本と中国の歴史の違いは「為政者の肩書」にあると思っています。日本はずっと天皇というわけではなく、本当に色々な肩書の人物がその時々の政治を牛耳ってきましたが、中国は一貫してるんです。時には漢民族以外の民族に支配され皇帝という呼び名を使わない時代がありますが、玉座に座っている人物が支配していたことは変わりません。
その中国で最後の王朝となっているのは「清」です。この国が生まれたのは1616年で、日本は江戸時代で、確か徳川家康が亡くなった年だと思います。
清はその後中国全土を250年程度支配し続けます。これはすごいことです。
何がすごいって、この清が漢民族ではないってところなんですよ。
清は満州民族です。当時30万人しかいなかったそうです。対する漢民族は2億3千万人。
30万が2億3千万を支配する。中国では反乱で滅亡した王朝なんかいくらでもあります。
この状態で250年!
あまりにも長い期間だったため、多くの日本人が「中国人」というものを勘違いしてしまいました。
たとえば「チャイナドレス」は漢民族ではなく、満州民族の「チーパオ」の方にルーツがありますし、
以下の人物なんかはもう完全に満州民族ですよ^^
「チーパオ」に身を包み、髪型は「弁髪」、でも額には「中」。もうわけが分からん。
当時小学生だった私はこれこそが中国人の姿だと思っていましたTT(ゆ〇たまご~(# ゚Д゚))
さてさて、脱線してしまいましたが、この満州族の国清朝も滅ぶ時が来ました。
それが1911年から始まった「辛亥(しんがい)革命」です。
ここで中心となったのが孫文。
満州民族を追っ払って、漢民族の民主的な国家を建てようとしました。
2000年以上続いた皇帝が支配する時代が終わり、
名目上はアジア初の共和国である中華民国が誕生したのです。
これが一つ目の中国です。
(前後しますが、ちなみにこの時点で台湾は日本の領土となっています。日清戦争の講和条約である下関条約ですね。)
第一次世界大戦が終わると国内では中国国民党と中国共産党の活動が活発になります。
どちらも目指す国の形があり、またそれは全く異なるのですが、両者の共存を目指した中国国民党の孫文が死んだ後、トップに蔣介石が就任すると両者は対立を始めます。国共内戦というやつですね。
1937年、日本という共通の敵を倒すため両者はいったん手を組みますが(第二次国共合作)、戦後再び内戦状態となり、1949年に毛沢東率いる中国共産党が勝利し、中華人民共和国を建国します。
これが二つ目の中国。
蒋介石率いる中国国民党はどうなったのか??
彼らは台湾に逃れ、中国国民党として中華民国としてあり続けました。
ここに2つの中国が誕生したのです。
1970年代、日本を含めた世界は中華人民共和国こそが中国であると認め、台湾に関しては中国の一部とする中国の立場を「尊重する」こととしました。この時、中華民国との国交は断交され、日本の地図では中華民国が消え、台湾と表記されるようになりました。
「台湾って国ですか?」
学生からってわけでもなく、本当に何回聞かれたか分かりません。
これって本当に難しい質問なんですよ。正解があるようで実はないんです。
法律も別、パスポートも別、通貨も異なる。「ほな別の国やないか!」と言えそうですが、そんならこんな長文書かなくてもよいのです。国であるかどうかって実は他の国が決める部分が大きいんですよ。
先進国は軒並み中華人民共和国と国交をもっており、台湾(中華民国)と国交があるのは小国ばかり。国連も脱退しちゃいましたから。そして中国の意見が強い強い・・・。
任期が終わり間もなく交代する台湾の蔡英文総統ですが、
以前「自分たちは中華民国でもあり、台湾でもあり、中華民国台湾だ」と言っています。
NHKが台湾で行った「あなたは何人ですか?」という調査では、国民の意見も割れていることが分かります。
どの切り口から入っても本当に難しい問題なんです。
私個人ですか? 私ははっきりと「国」と捉えています。
東日本大震災発生時に国として真っ先に支援を申し出てくれたのは「台湾」です。
国際救助隊をすぐさま派遣し、多くの物資を送ってくれました。また、国民から集められた義援金は200億を超える額で、アメリカを超えて世界一の金額だったそうです。
くっそ長い前置きでしたが、言い方が難しいですが、私は台湾が「世界一の親日国である間」に行って、自分の目で人を、歴史を見てみたかったし、学生には初の国外旅行を安全で、人々が好意的である可能性の高い台湾で「自分って」、「日本人って」何者なのかを感じて欲しかったのです。
結論を先に書いておきます。本当に楽しかったです。そして素晴らしい国と人でした。
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